【連載】伝えたい。残したい。「リユース」のいいこと。

     
 

この連載では、“ベビーとおでかけをもっと楽しく”するため、育児中のママの声をまちに届ける活動をする『ママリボン』が、『ママ目線』でポスポスを徹底取材しています。先日、びっくりするニュースが届きました。ポスポスのメンバーが小学校で授業をする!?目的は「リユースってどんな良いことがあるの?」という質問に答えを出すこと。相手は小学3年生。興味を持ってくれる?ちょっと難しくない?半信半疑で取材にお邪魔した私の予想は大外れ。想像をはるかに超える、こどもたちの純粋さと情熱、そしてポスポスメンバーの思いの深さに、心の奥から熱いものがこみ上げることになるのでした。

 
 

今回、ポスポスのメンバーが招かれたのは、福岡教育大学附属福岡小学校3年生の「くらし」の授業。教科書も無く、先生が作った1枚のプリントを元に授業が行われるとか。参加したのは、代表の吉田照喜さんと長住店・店長の阿立恵さん。授業の前に、担当の井手先生と打ち合わせです。

       

今回どうしてポスポスのメンバーに講師を依頼したのか、担当の井手先生に聞いてみました。

   

井手先生:

「モノの大事さや値段の仕組みをこどもたちに伝えたくて色々と調べていた時に、お店の存在を知りました。こどもたちに身近な商品を扱っているんだけど、今のこどもたちにとって『リユース』って身近じゃない存在だと思うんです。ちょっと遠い存在というか…。まずはそこを切り崩したかったし、お店のコンセプトが素晴らしくて、単にリユースして良かったな…で終わらずに、突き詰めていけば、その先にしっかりとしたものがあると感じたので、今回お願いしました。実際に吉田さんにお話を聞いた時には、私自身も胸が熱くなりましたよ。」

   

吉田さんと阿立さんが学校を訪れるのは、この日で2回目。前回は『知りたいな 値段のひみつ』と題し、“リユースショップは、どんなところ?値段はどうやって決めている?”などを話したそう。実際にこどもたちから使わなくなった洋服やオモチャを預かり、後日長住店で査定し、コーナーを設けて販売したとか。

   

※長住店に作られた特設コーナー。興味深く眺めるママも多く、注目のコーナーになりました。

 

前日、買い取り金額を知らされたこどもたち。授業開始早々、素直な言葉が飛び交います。

 

井手先生:

「みんなは、あの金額を聞いてどう思った?」

児童:

「安い!」「思ったより安かった!!」

井手先生:

「じゃあ、リユースしない方がいいのかな?」

児童:

「いいえ!」「いいえ!!」

     

こどもたちが持参した洋服やおもちゃは1点ずつ。ついた金額は、10円~100円。大人からすると、使わなくなったものに値段がつくだけでも十分と思えるけど、こどもたちにとっては思い出の詰まった大切なもの。安いと思って当然。私だったら、変にかっこつけて大人ぶって心の奥深くにしまってしまう感情を、素直に口にできるこどもたち。冒頭から、愛おしさと尊敬の気持ちがじわじわ沸いてくる。最初に素直にそう思えるからこそ、『リユースの良さ』について深く考えることができるんだもんね。その後、井手先生は、こう続けます。

 

井手先生:

「今日は何を話し合おうか?」

児童:

「リユースする良さ!」

井手先生:

「そうだね。お金は安かったけど、『リユースする良さ』がきっとあるよね。それについて今日は話し合ってみよう。」

   

そこで出てきたのが“売った人”“買った人”“お店の人”という3つの立場。それぞれの立場で『リユースの良さ』を考えることになりました。先生が用意したプリントに、こどもたちは自分の考えを書き進めます。

     

※こどもたちが記入している間、吉田さんと阿立さんは教室をまわり、質問に答える。

   

そして5分後…考えを発表。まずは『売った人』の立場から考える、リユースのいいことは?

 

児童:

「使わないので、リユースするとお金がもらえて嬉しいと思います。」

「使わなくなったものを捨てたらかわいそう。売ってお客さんにその商品を使ってもらえるので、とても嬉しい気持ちになれると思います。」

「自分が大切に使っていた、思い出が入っているものを、新しい持ち主に買ってもらって、また思い出が詰まっていくことがいいと思います。」

 

ほとんどのこどもたちが、今回初めて、自分のものを売る経験をしました。手元に届いた金額は思ったより少なかったけれど、その先に、自分が大事にしてきたものを“欲しい、使いたい”と思う人がいる…と感じ始めたこどもたち。ここで阿立さんから、実際に売りに来たお客さんの声が紹介されました。

 

阿立さん:

「ポスポスに来るお客さんは、色んな気持ちを話してくれます。例えばベビー用品…赤ちゃんの時から使っているものには思い出がたくさん詰まっていますよね。それを捨ててしまうのは、思い出を捨ててしまうみたいで悲しい。だから、“次の人に使って欲しい”っていう思いでみなさん持って来てくれています。次につながっていくなら、是非つなげていって欲しいっていう気持ちだと思います。」

       

続いて、『買った人』の立場では“安く買えるので楽”“高い商品のものも安く手に入るし、簡単に手に入るところがいい”という意見が。そして、『お店』の立場では“中古で売ってもらって、それをお客さんに売る。お店の人が商品を買わなくても済むのでいい”という意見が。3つの立場で考えたところで、先生はこう続けました。

 

井手先生:

「リユースの良さを、『売った人・買った人・お店』という3つの立場から考えてみました。じゃあ、リユースの良さを1つにまとめていくと、どんな風になるだろう?とっても大事なことだね。」

 

大人が聞かれても、すぐに答えられない質問。まず、“リユースって何?”を知り、実際に体験し、それから色々な立場で考えたこどもたち。先生の問いを聞いて、一斉に手が挙がりました。

 

児童:

「リユースは、大切に使ったものがつながっていくからいいと思います。」

「色んな人が得をして、みんなが笑顔になるのがリユースの良さだと思います。」

   

私がポスポスに出会って約2年。リユースっていいもんだなぁと実感してきたつもりだったけど、こどもたちの言葉を聞いて、目が覚める思いでした。素直でまっすぐで。そうだよね、リユースって関わる全ての人が笑顔になれるんだよね。

       

ずっとこどもたちの意見を真剣に聞いていた吉田さん。ここで、吉田さんがポスポスを始めた思いについて、こどもたちに語りかけます。

 

吉田さん:

「リユースって、みんなが話してくれた通り、売った人にも買った人にもいい。お店にもいい。でもそれ以上に大切なことがあると思っています。今、リユースが無かったらみんなが使わなかったものって、ほとんどゴミになっちゃうよね。するとどうなるか…ゴミ焼却場で燃やされます。焼却代って誰が払っているの?っていうと、ちょっと難しいけど、“税金”で支払われています。みんなのお父さん・お母さんが払っている税金です。本当はもっと他の使い方…社会にとって良い使い方があるはずだけど、ゴミをたくさん燃やし続けるために使うって、ちょっともったいないことをしている。それに、たくさん燃やせば当然地球の環境にも良くない。お金がかかって地球にも良くない。やっぱり、国には無駄なお金を使って欲しくないし、こどもたちのためにもいい地球環境をしっかり残していきたい。だから“リユースが大切”。そういう気持ちでお店を始めました。」

     

吉田さん:

「『ポストアンドポスト』って“郵便ポスト”のポストでもあるんですよ。郵便ポストって大切な人に何かを伝える場所じゃないですか。例えば手紙って大切な人に書くよね。それを大切な人が受け取る。そんな風に、売った人から買った人へ。今、生きている僕らから未来のこどもたちに…という思いを込めて、このお店をやっています。」

 

吉田さんの言葉を聞いて、こどもたちの表情がさらに引き締まりました。“自分たちが今回体験したことって、未来を変えてしまうようなことだったのかな。”9歳の心に、とてつもなく大きくて大切なものが、ふっと生まれた瞬間だったのかもしれません。そして、先生からこんな質問が。

 

井手先生:

「みんなが考えた『リユースの良さ』に加えて、これを続けていくと、どんなことが起きていきそう?」

 

その問いに対して、この日一番たくさんのこどもたちが手を挙げました。

 

児童:

「地球環境が良くなると思います。」

「リユースショップがあったら、ゴミが減って、税金も使わなくて済むと思います。」

 

そして、この日の授業の最後。“これから自分たちにできることは?”という問いにこどもたちが答えることで締めくくられました。

 

児童:

「今は売った人の立場にしかなっていないから、買った人の立場にもなってみたいと思います。」

「自分たちも、ゴミを減らせばいいと思う。」

「これからは使わなくなったものも捨てずにリユースして、次の持ち主に大切に使って欲しいと思います。」

     

今回お邪魔した小学3年生の授業。その内容は想像以上に深く、そこから広がる可能性の果てしなさに、胸が熱くなりました。私は40歳を過ぎてポスポスと出会い、ようやく『リユース』の大切さに目覚めて…、随分遅かったなぁ。…あれ?でも、うちの息子はまだ4歳。今、私が気付いたから、少なくともこの子には伝えられるんじゃない?まだまだ知らないことばかりだけど、小さな息子と一緒に、知りながら分かりながら、育ち合っていけたらいいな。熱い授業の終わり。教室を出る頃には、大切な人に大切なことを伝えたい…そんな気持ちが沸いてきて、心がほんのり温かくなったのでした。

   

ライター/山澤裕子(ママリボン

 大学卒業後、福岡の制作会社に勤務。 ディレクターとしてテレビ番組の制作に携わる。 出産を機に退職し現在4歳の息子の育児奮闘中。